見えてはならないものが見えた?!
『見えるものを見ず
見えぬものを見よ
中 略
人は己以外の人を見て、その人間の価値判断をする時に、
先ず肉眼で見たもので価値判断を定めようとします。
容姿容貌、年齢、性別、国籍、着衣、持ち物、
社会的位置、住居、等々です。
そしてそれが人間を推し量る際の常識となっています。
しかしそれが大変な錯覚、間違いの元なのです。
だまされるのです。
ですから人を観る時は、
その人の心を観るように心掛ける事です。
現在目前に居るその人の心が美しいか醜いか
純粋の純度が高いか低いか
それだけを観る習慣をつける事です。
美輪 明宏
「心に響く100の言葉」
PHPスペシャル5月号増刊号
平成25年3月18日発行
PHP研究所 』
この言葉に出逢って
小生全く関係のない体験を思い出しました。
それは、小生が27歳の時の話です。
自分が経営する会社が倒産して
パチプロを1年間続けた後に
就職したのは某ファーストフードを
数店舗経営する会社でした。
配属先は、S市の最北に位置する
ショッピングモールのインショップ。
この店は、乗降客数1日30,000人の駅と
直結していることもあり、
この街では超繁盛店、増して当時は24時間営業、
27歳の肉体を持ってしても異常な混み具合に
疲れも半端ではありません。
血尿と過労で入院したのがこの頃です。
このショッピングモールには、以前より
ある噂が絶えませでした。
幽霊を目撃した、又は不思議な体験をしたというのです。
それも、従業員だけではなく利用客からの
声も毎日のように寄せられるのです。
「トイレから出てくる時に、誰も居ないのに
ポンポンと肩を叩かれた。」
「ガラスに貼ってあるポスターのタレントの
目から血が流れていた。」
「目の前を誰かが何度も横切った」
「誰も居ないのに自動ドアが開いて
線香の臭いが入ってきた。」
「誰も居ない更衣室の内側から鍵が掛けられていた。」
警備員も3か月くらいで辞めてしまいます。
「最近、見ますか??」
こんなことを訊いてくる警備員がいるでしょうか?
その日は、ナイト勤務ということで、
18時から翌朝8時までの就業でした。
当時は14時間勤務は当たり前の時代です。
それは深夜1時頃のことでした。
ようやく一段落して、キッチン担当の男子アルバイトと
休憩を摂ることにしたのです。
始めは10分程度のつもりが、
話しに夢中になってしまい
20分が30分となったのです。
セールスエリアにはもう1名の男子アルバイトがいるので
安心していたのです。
その時なのです。
話しをしているアルバイトの3メートル程後ろのドアに
白い煙りのようなものが見えたのです。
じーっと見ると、どうやら中年の女性のように見えます。
ドアの面もはっきり見えます。
夜に、薄暗い部屋からガラス越しに外を見ると
窓ガラスに自分の姿が薄く見えて外の景色も見る。
そんな感じです。
何度見直しても、中年の女性に見える!!!
アルバイトが私の視線に気づいて
「どうしたんですか?さっきから ・ ・ ・」
「いや別に ・ ・ ・」
そのうちに、アルバイトの青色が青白く変わってきたのです。
「どうしたの?」
「ぼく、さっきから気持ち悪いんです」
「・ ・ ・」
「誰か、ぼくの後ろに居るような気がして ・ ・ ・」
「・ ・ ・」
「誰か後ろに居ません?」
「いや ・ ・ ・ 誰も居ないよ ・ ・ ・」
「ホントに ・ ・ ・」
「誰も居ないってっ~!!見てみればいいじゃん」
「・ ・ ・」
彼がゆっくりと後ろを振り向きました。
「・ ・ ・」
そして、小生の顔を見つめて1分ほどの沈黙
「見えているんですよね??」
「・ ・ ・ 何を?」
「・ ・ ・あれを ・ ・ ・ 」
「 ・ ・ ・ じゃぁ、見えてるものを教えて ・ ・ ・」
「白い着物の ・ ・ ・」
「・ ・ ・ 男か女どっちっ??」
「おんな ・ ・ ・」
「・ ・ ・ じゃ髪は長い短い??」
そんなやり取りを何度かやって、
彼は小生と同じものを見ていたことを確認しました。
中年の女性で、白い着物を着ている。
髪は肩までの長さで、腕はだらりと両脇に下げている。
足は膝辺りから無い。
「・ ・ ・ ってことは ・ ・ ・ 幽霊ってこと?」
「・ ・ ・ じゃないですかぁ~っ」
無言 ・ ・ ・
それから ・ ・ ・
ゆっ~くりと薄くなり、壁と女性の区別が曖昧となり
やがて壁となった。
お互いの問答で5分間 ・ ・ ・
じっと無言で見ていたのが5分間 ・ ・ ・
きっと、小生が一人で問答していた時間と合わせると
15分くらいのことだったと思います。
今でも思い出します。
あれは何だったんだろうと。
よく、TVの怪談番組で、幽霊を見て絶叫するというシーンが
ありますが、あれは嘘です。
対象を見て、直ぐに幽霊なのか木立なのか人間なのか
判断ができる訳がありません。
その後の話しです。
一人の女子アルバイトを採用して、
その日から勤務するという日のことです。
事務所入り口で「おはようございま~す」と
元気よく言ったきり其処から入って来ません。
どうしたのかと尋ねると
「わたし ・ ・ ・ 此処で働けません」と言って
動きません。
「事務所入り口に白い着物を着た女の人が一人と
キッチンの天井付近に男の子が一人居るのが見えるんです。」
「・ ・ ・ 」
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